大阪湾に残る数少ない自然の砂浜である兵庫県西宮市の御前浜で、バーベキュー客が残していくごみが問題化している。なかでも「自然に返る」と誤解されがちな炭が、砂浜を汚染。このため地元のボランティア団体が3連休を前に啓発看板を設置したところ、わずか1日で何者かに壊された。団体のメンバーは「マナーの向上を呼びかけるだけでは限界かもしれない」としている。
【フォト】マナー向上を呼びかける人型看板
御前浜は夙川の河口東側に広がる砂浜で、広さ約3千平方メートル。明治40年には「香櫨園浜海水浴場」が設けられ、アニメ化された野坂昭如さんの小説「火垂るの墓」に登場するほか、西宮市で育った作家、村上春樹さんは写真家の松村映三さんとの共著「辺境?近境 写真篇」で「小学校の頃はよくここに泳ぎに行った」と記している。高度成長期の水質悪化で昭和40年に海水浴は禁止されたが、現在も貴重な自然の砂浜として住民に親しまれている。
しかし、手軽なレジャーとしてバーベキューが人気を集めるようになってから、放置されたごみが目立つようになった。生ごみはもちろん、大きな問題となっているのが炭で、分解されないまま白い砂浜を黒く汚している。砂浜の清掃や子供たちを集めた環境教育に取り組んでいるボランティア団体「チーム御前浜?香櫨園浜 里浜づくり」によると、「生ごみを持ち帰る人でも、木から作られる炭なら大丈夫と思って悪意なく放置することも多い」という。
このため3連休前の17日朝、県職員とともに啓発看板を4カ所に設置。看板は目立つように人型にし、「炭は土に還らない」「残った炭は必ず持ち帰ってください」とプリントした黄色いTシャツを着せた。しかし翌18日朝に連絡を受けたメンバーが駆けつけると、4体のうち2体が腕の部分を折った上で根元から引っこ抜かれ、Tシャツはなくなっていた。
看板を設置した平井美波さん(67)は「みんなで浜を楽しく利用できれば、と規制のようなやぼなことはしたくないと思ってきたのに」と肩を落とす。今後、浜を管理する県に規制を呼びかけてもらうよう検討するという。
バーベキューのマナーをめぐっては、京都府が鴨川でのバーベキューを条例で禁止したほか、多摩川河川敷では川崎市が有料化の社会実験を行っている。
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引用元:ロハン(新生R.O.H.A.N) 専門サイト
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